京都に行ったり、サテライト展示を見に行ったり、琵琶湖に行ったりした記事を先に更新していましたが、ようやくART OSAKA 2011にたどり着きました。関西圏のアートフェアの中でも随一の歴史を持つART OSAKAは、現代美術の作品をプライマリーに扱うギャラリーが53軒集まるという、現代美術のみを対象とするアートフェアとしては、全国屈指の規模で開催されました。
ここ数年フェアが開催されていた堂島ホテルから、今年はJR大阪駅ビルのホテルグランヴィア大阪の26階にその会場を移しました。おしゃれな感じのする堂島ホテルも好きでしたが、駅ビルということで移動が非常に楽で助かったのも正直なところ。ミナミにもすぐ出れるし、間近には今年オープンして大きな話題となった大阪三越伊勢丹があるしで、作品を買ったり見たりするだけでなく、この機会に大阪観光をしようと思っていた府外からのお客さんには好都合の立地だったんじゃないでしょうかね。
関西以外からの出展者が25軒前後に上り(曖昧ですみません)、日本の、アジアのアートシーンの全てがこのフェアに集約されているわけではありませんが、その勢いを感じられる内容になっていたのではないでしょうか。そもそも現代美術という言葉自体、ひとによって捉え方が変わる曖昧な言葉だとしても、ひとつひとつの客室を巡る度に、同時代でここまで多様な表現が日々生まれているのかという、新鮮な驚きを感じられたのではないかと思います。
アートイベントとしても楽しめるフェアですが、作品を購入するお客さんとギャラリストの審美眼の凌ぎ合い、今回は若い世代の出品作家が多いように個人的に感じられたのは、多くのギャラリーが「次」のモードを見せていきたいと考えていたのでしょうか。とまぁ、御託はとにかく、3日間に渡り会場を巡る中で、何気なく何となく感じたことを順番に書いてみます。
会場がある26階に至るエレベータが数台あったので、ホテルの一般利用客と同乗することも多くはあったですが、特にエレベータ担当者を付けなくても極端な混雑はなかったので、快適でしたね。エレベータのドアの開いている時間が長いとブザーが鳴るのですが、自分デブなんで白い目が痛かったです。
いやぁ、広かったですね、会場。今までは堂島ホテルの4フロアを使い大体50軒弱の出展者が参加してたのですが、今回は50軒強の出展者がワンフロアに全て収まっているわけですから。あまり遠出や旅行うするタイプでもないし、立場上出張がありえない生活の中で、ましてやグランヴィアレベルのホテルなんて、幼い頃の家族旅行以来一度も使う必要がなかったので、会場の広さに面食らいました。
僕が見に行ったことがあるホテル型アートフェアは、今年を含めて3回のART OSAKAに、アート@アグネスとアジアトップギャラリーホテルアートフェア、元々ホテルだったカラオケハウスのマンシーズアートナイトぐらいしかないのですが、堂島時代のART OSAKAも含めて、それらと比べればある程度余裕のある動線が保たれていたように思います。客室に入るたびに他のお客さんと体をぶつけても仕方ないので、ここは重要なポイント。体が触れ合うやむを得ないケースは少なからずあったのか、お客さんがどう感じているかはちょっと気になるところ。僕が知ったところで、メールなどでフィードバックするぐらいしか出来ないのですが。うむ。慣れみたいなものもあるんでしょうが、個人的に不愉快に感じることは殆どありませんでした。
出展者がブースを構える各客室は、すべてがほぼ同じサイズだった記憶があります。2人が宿泊して丁度良いぐらいの広さでした。フロアを占める客室4列の外2列がその広さで、加えて内2列におひとりさま向けの客室が並んでいるのですが、そちらが各々サブルームとして、荷物置き場など自由に使えるようにしてありました。TEZUKAYAMA GALLERYは地元の利もあってそちらも展示スペースにしていましたね。
東京のギャラリーが例年より多く参加しているように感じたのですが、前年比でプラス3ぐらいなんですね。参加者の入れ替わりの結果、ディレクターやスタッフと面識のあるギャラリーが多かったから、多く感じた理由はそれだけみたいです。あと、東京に支店を持っていたり、東京のフェアに出展された際にお話をしたり、SNSなどでギャラリー関係者と連絡を取り合っていたりする関西のギャラリーが少なからずあるので、本店が関西でも何となくお互いに顔を見知っていたりするのは、何か時代だなぁと感じました。あとで、ギャラリー専用のtwitterアカウントを持っているところについては、まとめられたらいいんですけどね。電話やメールでもいいんですけど、アカウントがある程度アクティヴであれば、場合によってはリアルタイムで応答が出来る、これも時代ですねぇ。
会場を左右2列に大きく分け、時間を掛けてじっくり見て回ると、片面1時間〜1時間半は掛かるんじゃないでしょうか。僕は2時間ぐらい掛けてました。1ギャラリー5分×片面20ギャラリーだとしても、100分は掛かるので当然っちゃあ当然か。ぼちぼち短くはない尺の映像作品を置いているギャラリーがあったり、手にとって確認できる作品を販売しているギャラリーがあったり、そもそも新しく興味を持った作家がいて質問などしていたならば2時間でも済まず、全部回りきれなかったというお客さんもいたかもしれませんね。作品との「出会い方」の癖みたいなものを自覚してみたりしなかったり。
オープニングレセプションは、直前まで大阪自体に行けるか分からなかったので、参加しませんでした。出展関係者がフラメンコを踊ったのなんだのと、噂だけ流れてきていますが、詳細は分かりません。誰か教えろい。フラメンコは見たかったな。フェア2日目の9日夜には、招待客向けに夜遅めの時間を開放するナイトヴューイングが開催。19時閉場だと都合が合わない人が参加出来ていたなら良いですね。スパークリングワインが供され、ちょっとしたレセプションになってました。
出品作品から感じる現代美術や各ギャラリーの「なう」がどんなんだったかっていうのを、見事に書いていませんね。って、ギャラリー毎にいちいち書いているとキリがなくなるというのもあるのですが、最初の方に書いているように、良い意味で表現に幅があり、「また同じような作品だよ〜」っていうゲンナリ感は全くありませんでした。売れ線ではなくしっかりとオリジナリティを追求出来ている作家が揃っていたということでしょうか。それだけに、文章で書くにあたりなかなかフォーカスするポイントが見当たらず。そもそもアートフェアだし、総合キュレーターが入った巨大国際展ではないからまぁ、それもやむなしか。
ということで、僕の肉体のように頭がデカくなってしまいましたが、今回の更新ではホテル型アートフェアという特徴を存分に活かしたインスタレーションの様子をいくつか写真を使って紹介出来ればと思います。
MA2ギャラリー:樋口明宏作品
26階客室から街の風景を眼下に望む。展示に使わない手はないですね。窓を上手く使い、作品の持つ魅力を引き立てているギャラリーもたくさんありました。MA2ギャラリーの樋口作品はまるで、大阪の街を作品の支持体である蛾が飛んでいるよう。
TEZUKAYAMA GALLERY:山下耕平作品
窓を飛び越えて、向かいのヘリポートにある作品を望遠鏡で見る作品を出品していたのは、TEZUKAYAMA GALLERYの山下さん。視線の先にある作品は客室にあるブックには載せてなかったので、その場に行き望遠鏡を覗いた人にしか分からないという楽しみがありました。ということで、何が展示されていたのかは、内緒で☆彡
松尾惠+ヴォイスギャラリー pfs/w:小谷真輔作品
ホテルの客室を使うということで、当然お風呂がついています。客室の中でさらにドアで区切られたサブルームということで、展示スペースとして使用しているギャラリーも、これまたたくさん。照明を切れば暗室、松尾惠+ヴォイスギャラリー pfs/wのお風呂ではてんこ盛りなインスタレーションを、カラフルな光のラインが明滅して照らしていました。
YOD gallery:新野洋作品
お風呂のインスタレーションが印象的だったギャラリー第二段。水草と流木が仕込まれていますね。真ん中〜右側に葉を組み合わせたような虫が見えますが、そちらが新野さんの作品です。リアルな葉に見えるのは、樹脂に着彩したもの。聞かねば分からぬぐらい葉そのものに似せた超絶技巧によって作られています。
unseal contemporary:藤井健仁作品
まだまだ続くよお風呂シリーズ。お風呂にも作品を展示しているギャラリーは、ギャラリストが案内するだけでなく、少しドアを開けたり、キャプションを貼ったりして、中を見てもらえるようにしていたのですが、アンシールはお風呂のドアを開けた瞬間に、ド迫力の鉄の生首が。しかも、犯罪者の宮崎某。客室には藤井さんの可愛目な作品が出品されているだけに、その落差にビビります。別室的にお風呂を使った効果抜群ですな。
Gallery OUT of PLACE:森村誠作品
もちろん客室なんでお手洗いもありますよ。トイレの上に置かれた「夜の蝶」(作品がピンク系チラシによって作られているため)は、一体何を示唆しているんでしょうか。Gallery OUT of PLACEのバスルームは、このトイレも含めて森村さんの作品のみで展示が構成されていました。
ギャラリー小暮:
ソファに人形。さり気なく置かれていますが存在感のある作品なので、室内に足を進めて一瞬だけビクってした。僕はね。そもそも入口にあるクローゼットに置かれてた作品なので、作品が自分で勝手に移動したのかと。もちろんそんなこと起き得ませんが。
GALLERY SIDE2:渡辺素子作品(映像)、その他
テレビの使い方もいろいろで、映像をそもそも販売していないので全く使わないギャラリーもあれば、液晶にキャンバスが貼り付いていたり、サイド2のように作品を流しているところも、もちろんありました。相対的に少なかった映像作品ですが、今回は持ち込みの液晶やDVDプレイヤーを使っているところが多かったかな。
Studio J:荒木由香里作品
写真のように、枕元にはライトボックスみたいな明かりがもともと仕込まれていました。小作品などを照らす照明の代わりにも使えるスグレモノでもあったようです。
Roentgenwerke AG:あるがせいじ作品
あるがさんの作品を照らすこの作品も、読書灯なのか、元々ホテルに設えられているものだったと思います。サイズは小さくとも超絶技巧が込められたあるがさんの作品を見せるのに、スポットライトとしてうまく使われています。
YUKARI ART CONTEMPORARY:いしかわすばる作品
現状復帰を条件に、広い面があれば壁画だって描けてしまいます。ラインペインティングと言えばいいのか、清潔な白に爽やかな緑で描かれた草が高く萌えています。作品のサイズ感を見てもらえればと、このギャラリーとご縁の深いお姉さんにご協力頂きました、多謝。
Mori Yu Gallery:浦郷仁子作品
この記事で唯一、ある程度の引きを取って、客室を全体的に写した感じですね。枕元には巨大なペインティング、多分平面作品ではこのフェア最大サイズだったんじゃないでしょうか?ホテル型アートフェアでも、大きな作品を見ることは出来るんですよ〜。
ROID WORKS GALLERY:中野浩二作品
ギャラリーによっては廊下にも作品が。チャリティーとして、廊下で展示・販売された作品の売上の20%は、日本赤十字を通じて東日本大震災の被災地に送られました。
ホテルというスペース性に関わらず、1回のフェアに連れてこれる作家作品には限りがあります。時間や場所に幅を持って見続けても尚、全体像を見渡せないのが、それは美術に限らないことですが、刻々と発展し続ける文化に関わる、何とも幸せな歯痒さだったりもします。なので、今回気になる作家、気になるギャラリーがあったなら、是非とも作家が参加する企画展示やギャラリーそのものに、足を運んで欲しいなぁと思ったりもします。
70年代や80年代生まれの作家が美術館で個展を開催する時代になって来ました。多くの作家がアートフェアの主な出展単位であるギャラリーでの活動を経て、世界的に活躍していたりします。ART OSAKAに出品していた、これからの活躍が期待される若手の中に、未来のスターがいるかも知れませんねぇ……アートフェアについて書かれた記事っぽくない〆ですね、なんか。まぁ気にすんな(無駄に上から目線)